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Q & A
バックナンバー 質問その1〜その9


イラスト:Mr.Nagasaki


読者からの質問

質問その1 (虚実補瀉について) 2003/6/12
質問その2 (虚実補瀉について) 2003/6/12
質問その3 (足の痙攣) 2003/6/27
質問その4 (どうしてこんな足に) 2003/7/2
質問その5 (体調と足裏の状態) 2003/7/8
質問その6 (お客様からの質問・腸の調子) 2003/7/14
質問その7 (焦熱足) 2003/7/15
質問その8 (薬の服用) 2003/7/18
質問その9 (足が冷えていく人がいるのですが・・) 2003/11/27


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★ 質問その1 2003/6/12

一般に、足は硬い処は強く、柔らかいところは優しくといいますが、それが虚実補瀉ということですか?私は硬い処を按(強く)柔らかい処を摩(優しく)と習ってきました。
しかし、マッサージや、東洋医学の考え方では、違いますよね?足に対する、虚実補瀉の定義を教えて下さい。

答え

按摩の現在における基本的な考え方ですね。按法と摩法が合わさって按摩というわけです。
按法は押すので「強く」というイメージがあり、摩法は撫でるというイメージがあるので優しくという表現になるのでしょうか。
さて、そのようなことをどこで習ってきたのか分かりませんが、鍼灸学校や指圧按摩学校では現在でもそのように教えているはずですので、鍼灸学校で習ったのでしょうか?これは東洋医学(特に手技法)が堕落した最大の原因であると思います。

按が強く押し込むのであれば、瀉法ということになり、摩が優しく撫でるのであれば、補法ということになります。ということは虚実補瀉の原理から言えば、実に対しては按法を用い、虚に対しては摩法を用いるということになるわけです。
ところが、黄帝内経には「実、之を按ずべからず・・・・虚之を按ずべし」という記述があります。これは現在流布している考え方と全く矛盾した記述です。

実を按じてはいけないとなっているということは、按法は瀉法ではないということになるわけです。これについてはすでに30年以上前に、雑感で述べた増永静人という方が明確にされていることですので、その見解をご紹介しましょう。按とは手へんに安んずると書きます。つまり、手でジッと抑えておくというのが元義でしょう。つまり手当ての延長線上にある技法であり、補法になるということです。これに対して摩は「磨く」というのが元義となります。磨くという行為はすり減らすという行為に相当し、まさに瀉法です。つまり、黄帝内経当時は正しく虚実補瀉を行っていたということなのですが、江戸時代に黄帝内経が疎んじられる傾向があったのと、按摩業自体が医術ではなく、盲人が行える慰安業となったため、どこかで誤解が生じ現在に至っているということなのです。

増永先生がえらいところは理論だけではなく、自らの手技を黄帝内経の記述に従い、虚を深く按じてみたというところなのですが、その結果「その効果は劇的であった。あれほど溶けにくかった硬い実が氷解するように溶けていった・・・(要旨)」とその著作で述べておられます。

足部療法における虚実補瀉とは、足部と言えども、身体の一部ですし、手技法であることには変わりがありません。従いまして増永師の考え方、黄帝内経の原則はそのまま適用されます。質問者がリフレのスクールで習った主にフリクション系(台湾式系)の手技は基本的に瀉法となります。実に対して正に摩法(フリクション)で対応しようとしたものです。足はもともと丈夫なものですし、被術者も本当の病人というのはいませんから、むしろ、足部においては瀉法を主体として行っても弊害が少なく、効果も出やすいという特徴があります。しかし、本当の病人には対応できないのと、長いあいだ瀉法を続けていくと、丈夫な足裏と言えども、ツボが潰れていきます。瀉法主体はたまに身体に活を入れるのには向きますが、継続するものでないでしょう。足裏揉みジャンキーになるか、足裏フリークになり、そのような人が結構います。自分の足が鈍感になっているのに気がつかないという人達です。

さて、具体的な虚実補瀉のやり方とは何かということですが、本当は虚実補瀉は技術や技法ではないのです。技法云々よりも虚実を見極めなければなりません。虚実とは、硬いところが実で、柔らかいところが虚などという単純なものではないのです。実は割りと分かりやすいのですが、虚は蔭に隠れて見えづらいものですし、虚を庇うように表面が硬くなっている場合も多々あります。増永師は虚を見出すことこそ、プロとしての修行があり、それに命を懸けた者でないと見えて来ないと述べております。虚実さえ分かれば、技法の許容範囲は自ずと分かるものです。単純推圧によっても瀉法はできます。ただ、虚に対してだけは按を使わなければなりません。それにしても虚の所在を知るかどうかであり、その修行は大変なものがあるわけです。

私はこの虚の所在を知ることに日々精励しているわけで、実際苦労させられます。
足揉みは昨日習った人が今日から出来るという簡便性と安全性はありますが、奥が深い所以でもあるのです。

虚は正気不足、実は邪気充満と定義されますから、誤解を恐れずにいえば、気の感受性が弁別の決め手になるような気がします。物理的な硬軟を追っても本当の意味で虚実を捉えることは出来ないのです。虚実が捉えられなければ、当然虚実補瀉が出来ません。

では、この虚実補瀉が出来なければ、足揉みが出来ないのかということになりますが、そうではありません。かといって、いつまでも単なる刺激療法で留まっていては限界がきます。そこで、雑感で述べたように足部療法は末端療法であるということを利用し、響きを起こさせる施術を提唱しているわけです。響きを起こさせると、正確に虚実補瀉したのと同等に近い治癒反応が得られますが、何故かということに答えようとすると、またとても難しくなってしまいますので、割愛させて頂きます。

「足裏を押しても響きがある」と初めて発表したのは1998年、鍼灸系専門誌においてでした。質問者には一番馴染みのある雑誌ではないでしょうか。
足裏を押して、体幹へ向かう響きが起きるの人の割合は10〜20%位でしょうか。実際、腹部とか頭頂へ響きが起きますと、改善は物凄く早くなります。しかし、全ての人が足裏でこのような響きが起きるわけではありません。特に現代、さらに都会の人は歪みが深く、ツボが潰れている人が多いため、響きが起きづらいものです。
そこで、足裏だけでなく、足甲、内足、外足、さらに下腿部を使い、響きを起こさせます。
そうすることにより、ほぼ全員の方に響きが起こるはずです。(少なくとも、17箇所くらい響きの置きやすいところが足部にはあります)
「足を揉んでも、響きなど起きない!」と強弁する足部反射療法家もいますが、そういう方は響きの定義を知らないか、自身、フリクション系の施術しか行えないか、或いはその両方だと思います。先日の上級コースにおいて、響きを起こさせる手技だけに絞って勉強しましたが、参加者全員が自身響きを体感し、響きを起こさせる技法を体得しました。将来の糧になるはずです。

まとめ

以上、後半は虚実補瀉から少し離れてしまいましたが、虚実補瀉の定義は「虚に対しては不足を補うという意味において、補法、即ち按法(安定圧)を用い、実に対しては邪気を取り去るという意味において瀉法(足の場合はフリクション系、但し、単純推圧でも代用できる)を用い、虚実という経絡の歪みを矯正することを目的とする」というのが正しい認識となります。そして、虚を認識するのが難しいが故に正確な虚実補瀉は何年もかかる修行が必要であること。しかし単純推圧によって響きを起こさせることができれば、虚実補瀉の技法と同等の効果を出せると言うこと。以上のことで回答とさせて下さい。

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★ 質問その2 2003/6/12

心臓病のなど人は小腸から揉むと良いと聞いたことがありますが、それは、陽のバランスを取るということですか?このことも虚実補瀉ということですか?

答え

これは虚実補瀉とは別の考えから出てきたものです。臓腑陰陽論からの考え方なのです。
何度も言いますように、足は体の末端部であるため、患部への直接的な刺激がなく、逆にそのことで思い切った施術ができるという特徴があるわけです。ところが心臓病だけはちょっと気をつけなければなりません。いくら間接的な刺激でも、弱った心臓に対して、ダイレクトに心臓の反射区を刺激しますと、その刺激がキッカケとなって心臓の働きをおかしくさせる可能性がないわけではありません。そこで、臓腑陰陽論を使い、小腸の反射区を重点としなさいとなるわけです。こうすることによって、さらに間接的な刺激となり、事故なく心臓を丈夫にできまよ。という理論なのです。
鍼術でも直接的な刺激を避け、五行の母子関係を用いて鍼を打つポイントを決める場合があるでしょう(雑感にて記述)。それと同じようなものだと思って下さい。
鍼は生体にとって異物である金属を皮膚を突き破り、筋層まで到達させる場合もあるので、刺激量が手技に比べ、格段に多くなります。そして基本的には瀉法なのです。そのような特性から周到に考えられた技法なのですが、心臓病だけは手技も同じような考え方を取るという例外的な措置だと思って下さい(鍼は五行、足部手技は臓腑陰陽論を用いると違いはあるにせよ)まあ、言ってみれば「転ばぬ先の杖」みたいなものかも知れません。
心臓の反射区は経絡的には厥陰(心包経)となりまして、心の陰陽関係にある太陽でも良いのですが、心包の陰陽関係にある少陽でも構いません。いずれにしても、直接的な刺激は心臓病に関しては避けたほうが無難であると、経験上言えます。

(筆者注:質問者は鍼灸学校の生徒で、回答に専門用語が多かったのはそのためです。ご了承ください)

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★ 質問その3 2003/6/27

50代後半の男性、遺伝的に足が痙攣する症状を持っています。血縁者には10人位同じ症状を持つ者がいて、その治療法があるという記事が出ていたので、血縁者が治療に行ったら治ったとのこと。その方は肝機能低下(γ―GTP900)で、その他、痛風、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、不眠、白内障を持っています。ストレスが多く、毎日お酒を飲まずにはいられない(依存症に近い)。先日、めまいで起きていられなくなったとのこと。右肩甲骨から背中にかけての痛みがつらく、今まで足30分と整体30分のセットで5回位、施術を行っています。身体はとにかく硬く、特に首、肩は酷い状態。少しでも楽にしてあげたいと思って施術しておりますが、足の痙攣は施術中にも起きます。さらに右拇趾先端に酷い有痛反応があります。この原因はなんでしょうか。施術上の注意点等、アドバイスがありましたら教えて下さい。

答え

先ず痙攣の原因ですが、一般的にはMgやCa不足、肝臓機能の低下ということが言えます。しかし、この方は遺伝的なものを持ってらっしゃるとのこと。これについては、残念ながらどのような遺伝異常でこのような症状が出るのか分かりません。でも、治療法があるとのことですので、専門医にまかせましょう。
それにしても随分な症状を抱えている方ですね。なんとか少しでも楽にしてあげたいという気持ちはよくわかります。肝機能(γ―GTP900)は異常ですよ。正常は60位ですからね。この方の場合、察するにアルコール摂取と関係があります。アルコール摂取を抑えませんとこの数値の改善は出来ないでしょう。このままいくと肝硬変など、重大な疾患に罹る可能性があります。
西洋医学的にはこのようなそれぞれの症状に対して、対症療法的な治療法を行います。また、診る科も違います。
しかし、東洋医学的には如何に多彩な症状を持つと言っても、五行学説を持ち出すまでもなく、それぞれ密接に関連しあい、かつ影響を与えていると考えます。逆にいうと何か一つが(原因)が改善すれば、他の症状も改善され得ると言えるわけです。
今、この人に重要なことはアルコールの摂取を抑えて貰うということです。このままの生活を続けますと、足揉みに限らず、如何なる療法でも功を奏するのは難しいと思います。
一時的に楽になったりはするかも知れませんが、目にみえた改善は無理というものです。
我々の施術の意義は何病という病気を治すことではありません。また、何病という病気を治す手段も持ちえません。如何にその人の持っている自然治癒力を引き出すかということにあるわけですから、その人自身が自然治癒力の発動を抑制するライフスタイルを変えませんと、折角の施術が対症療法的な一時凌ぎとなってしまいます。

私自身もこのような経験があります。
ある会社の社長さんで年齢は50代前半の方でした。会社の経営不振などからストレスが溜まり、酒量が増えていきました。様々な身体の不調を訴え、あるとき病院で検査をしたところ、γ―GTPが1500(信じられない!)もあったのです。当然、医者は酒を止めるよう勧告しましたが、全く止めようとはしませんでした。当然、身体の不調は改善されるどころか、増悪していき、半年後、遂に入院してしまいました。そして入院から数ヶ月後、肝硬変で亡くなってのです。
医者が言っても、言うことを聞かないくらいですから、私の言うことなど聞くわけもありません。施術しながらむなしく、とても悲しい思いをしたのを覚えております。
施術によって改善させるということは、施術者の力量だけの問題ではありません。また、小手先の技術でもない場合が多いものです。ある意味、お客様と施術者との共同作業でもあるのです。それ以来、お客様から信頼される(言うことを聞いてくれる)施術者になろうと決意して今日まできていますが、未だそうなっているとは言い難いと思います。ですから毎日が修行というわけです。

ともあれ、この方は先ずアルコールの摂取を抑えるということです。
右肩甲骨から背中の痛みというのは肝臓が悲鳴を上げている証拠に他なりません(体壁反射)。根本を治しませんと、この症状は消えません。一時的な改善は却って害になります。

尚、右拇趾先端の有痛反応は痛風のせいでしょう。あまり強くコスリますと炎症を起こす可能性がありますので、触らない方が良いでしょう。これをアレルギー性鼻炎の前頭洞反応だと誤解してはなりません。

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★ 質問その4 2003/7/2

見た目は普通の奥様なのですが、足がズドーンと太く、くびれがありません。特に膝回り、ふくらはぎ、足首のムクミ(?)がひどく感じられます。毎週1回、既に16回、来てくださっています。私自身は前よりは細くなったように感じますが、ご本人は「全然変わらない、もっと細くしたい!」と言います。でも、前より肩も凝らなくなり、マッサージ屋さんに行くこともなくなったとおっしゃっていました。この方の足の裏は硬く、特に腎、足心、そしてそこから下に向かうラインが筋張っていて、押しても撥ね返される感じです。何度も安定圧などを駆使し、ようやく少しほぐれたかなという程度です。また、内側坐骨神経のラインがビクともしないほど硬く入りません。両足が外反母趾で赤く腫れています。それで夜、外反母趾矯正バンドをハメテ寝るようにしたところ、余計悪化したようで「キツスギルので止めたほうがいい」と言ってしまいました。どうしてこんな足になったのでしょうか。また健康サンダルもずっと履いていて、やめてから2ヶ月経った今は随分、柔らかくなったような気がします。健康サンダルは足の表面を硬くしますが、やはり長く続けるとツボを潰したり、鈍感にしたりしますか?健康サンダルを履きなれた人は改善も難しいですか?外反母趾もどうしたら良いのか分かりません。ご指導宜しくお願いします。

答え

これまた長い質問ですね。どこから答えましょうか・・・
先ず「どうしてこのような足になったのでしょうか?」とのことですが、結論から言いまして「分かりません!」としか言いようがありません。もちろん、原因なくして結果だけがあるということはないのですから、何らかの原因はあるでしょう。しかし、その原因を追求してもあまり意味がありません。今、足がパンパンに太く(ムクミ?)、少陰〜足心〜太陽のラインのスジのツッパリがあるという現状をどうすかるか?ということです。
この方の状況はイメージとしてよく分かりますよ。私も数限りなくこのような方の足を施術しました。特に足底の筋のツッパリが強い人は揉みづらく難儀するものです。
安定圧なども使い、何とか少し解される程度とのことですが、本当にそのような方もいらっしゃいます。ですから質問者の戸惑いもよく分かります。一つのヒントですが、鍼術の世界では、鍼は刺すものでもなく、打つものでもなく沈めるのだ、と古人は教えております。手技法においても正確に言えば、押すものでもなく、圧すものでもなく、指を沈め相手と同化するイメージで行うものです(便宜上、押圧とか押すという表現はしますが)。
特に安定圧はそのようなイメージでないと効果はあまりありません。しかし、そのことをあまり講習等でうるさく言わないのは、イメージだけが先行して肝心の刺激量が足りなくなることがほとんどだからです。逆に言えば、充分な刺激量と共にゆっくりと指が沈み込んでいき、同化するような圧を加えることができれば、筋のツッパリは驚くほど緩んでくるものです。(正直言って、このような押し方ができるのは2〜3年くらいかかりますが)

足が太くて悩んでいて、もう少し細くなりたいとのこと。前述のように原因はよく分かりません(リンパの流れが悪いとか血流が悪いとかいう説明は原因の説明ではありませんからね)しかし、質問者の描写から察するに足底のツボが閉じていて、抜けていくところがない為、太くなっていった可能性があります。ということはリンパマッサージ等で一時的な効果を与えてもすぐに元に戻るということです。あくまで、足底の筋のツッパリを緩ませるような施術に徹するべきでしょう。一朝一夕でこのような状態になったわけではありませんから、それなりに時間がかかるものでしょう。単なるムクミでまだ脂肪細胞の肥満までいっていない方は即効果が出ることもありますが、この方の場合、状況から言ってそのような単純なムクミとは思えませんので多分時間がかかるはずです。
内側の坐骨神経のラインが硬いとのこと。ここは下腿部小腸経とほぼ一致する位置にあります。血流に大いに関係する経絡です。完全に解せないまでも、押圧の効果が出ていて、肩コリが軽減されたのでしょう。これはこのまま続けて下さい。足が太いとかそんな問題ではなく血流の阻害は将来重大な疾患を呼ぶ恐れがありますから・・

外反母趾について。外反母趾を治すのは容易なことではありません。現在、炎症を起こして赤く腫れあがっているとのことですから、矯正器具を使いますと、余計に痛みが出ます。ですから、それをやめるようアドバイスしたのは間違いではありません。やがて、炎症も治まり、痛みがなくなるときがきますが、その時はすでに外反母趾が固定されて曲がったままということになります。やっかいですね。原因はほとんどの場合、足底筋の弱化だと言われています。東洋医学的に言えば、足底経絡の虚実から起きるという表現になるのでしょうか。従いまして、曲がった関節だけを固定させて治すというのは疑問が残ります。よく外反母趾矯正グッズが売っていたり、外反母趾矯正テープの張り方の講習会あったりします。私もこの業界が長いのですが、それで治ったという人にお目にかかったことがありません。下腿部の施術をよく行い(出来得れば整体も)、それ以上悪化させないようにするというのが肝要かと思います。(外反母趾を治すという本を買ったことがありますが、なんとそれには外反母趾の足の写真は出ていたのですが、それが治ったという状態の写真が出ていませんでした。なんというインチキ!捨ててしまいましたが)
悪化させない施術というのは充分な施術のあと、反射区でいえば副甲状腺の部位を左手の親指が当たるようにして他の指は足全体を包み込みます。そして右手で拇趾をしっかりにぎり関節をまっすぐに伸ばすようにストレッチさせます。(以上は左足の場合。右足なら手が逆になります)これを続ければ少なくとも悪化しません。しかし元に戻るというのは期待しないほうが良いでしょう。

健康サンダルの弊害はおっしゃる通りです。絶えず、機械的な刺激を受け続ければ、皮膚は防衛のため硬くなるのは当然です。あまりに当然な生理反応なのに、それに理解が及ばない業者の見識には首を傾げざるを得ません。
全くダメということではなく、一日のうち数十分という時間を区切っての使用なら、ツボ刺激効果が出て体調も良くなるのでしょうが、一日の大半を健康サンダルで過ごすというのは仰せの通り、ツボを潰していきます。事実、それを止めてから、足が少し柔らかくなったのでしょう。ですから、これからも使用しないようにしてもらいましょう。
長年、使い続けられた方の足は確かに硬く揉みづらいものです。しかし、身体には復元能力がありますから、使用を止めれば元に戻るはずです。ツボも生きてくるでしょう。

ともあれ、この方の場合、足をもっと細くしたいという要望が一番強いのでしょうから、そんな簡単に細くはならないことを告げるより他ありません。前述のようにリンパマッサージや電気刺激によるシェイプアップは一時的なものです。一時的なものでも目に見えた改善がほしい場合、それをやってあげるというのは営業政策として必要なことかも知れませんが、私の個人的な考え方では全く本意ではありません。ですがそれを強制する権利はありませんので、ご判断はお任せ致します。

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★ 質問その5
 2003/7/8

以前から週1〜2回位の割合で通って来て下さる男性の方です。
この前、思い出したように「そういえば、左肩の痛みが全く気にならなくなった」とおっしゃって下さいました。この方の足を揉んでいて感じるのは、その時の体調によって足の状態が全く違うということです。私は足を揉み続けると、段々にほぐれてくるものだと思っておりました。その方は前回よくても、今回はガチガチで、その次はまたほぐれているという感じが続きます。とにかく体調が足の状態に表れるのです。
もう随分と続けているのに、足裏的には毎回状態が違い、そして体調と一致します。本人も体調が悪いと「足の裏がハバッタク、つる感じがする」と言います。そして押しますと、「そこは気持ちがいいな」とか「そこは硬い、自分でも分かる」と言います。この前は足心の下あたりで「そこは気持ちよくて響く感じがする」と言っていました。
もう数ヶ月以上、通われているのにこのような感じでいいものなのでしょうか?
また、響くという箇所を重点としてこれから続けていいものなのでしょうか?

答え

なるほど、そういう方もいますね。基本的に歪みの深い方なのでしょう。しかし、効果は出ているようで、肩の痛みが気にならなくなったとのこと。続ければ何がしかの改善はあります。質問者の意図は、足揉みを続ければ、段階を追うように足というのは柔らかく、改善されていくもの、或いはそのはず、というところからの疑問だと思います。
結論から言って、そうでもないことが多いものです。抱えているものが大きいと、一進一退が続きます。それが如実に足裏に出るので、この世界面白いわけです。
特に、定期的に通われている方は、足裏がその人の体調のバロメーターみたいに変動し、状態がよく分かって、まるでその人の主治医みたいな感じになれるものです。

療術界の用語を使えば、“歪みが深い”という表現になるのでしょうが、もっと分かりやすくいえば、ストレス感受性が強いとか、体質的に弱い部分を持っている、という表現になるのかもしれません。“歪み”については「施術雑感」を参考にして下さい。その方がどのような性格の持ち主で、どのような体質を持っているのかはよく分かりませんが、経験からいって、ストレス感受性の高い人は、一本調子で足の状態が改善されることは少ないものです。薬物の常用者も同じだと言えます。

私にも一年間、毎週一回必ず施術をする方がおりました。
充分に時間をかけ、毎回納得いくまで施術していたのですが、順調に足底のスジが緩み、体調がよくなったと思ったのも束の間、また体調を崩され、足も元の状態に逆戻りなどということを何度も繰り返しました。その方は経絡の流れが極端に悪く、しかも、仕事もハードでストレスの溜まりやすい環境におられました。まるでイタチゴッコのようで本当に疲れたのを思い出します。このように、人によって、いくら定期的に続けても周期があるかのように、体調の変動とともに足底の状態が元に戻ってしまう場合もあるのです。(病院での加療が必要ない方であっても)

また、他の強い療法と併用する方も、同じような傾向があります。薬物の件は前述した通りですが、薬物に限らず、他の強い療法も同じ傾向があると経験上言えます。
例えば、鍼灸などは足揉みと相性がよい療法なのですが、鍼に電気を通す通電療法をされている方や、鍼を通さずとも身体に通電させる機械を使う方などは、足の状態が悪くなります。これ以上言いますと、それを商売にしている方に対する営業妨害になってしまいますので言及しませんが、そのような傾向があるということだけは頭に入れておきましょう。

まとめて言いますと、自然治癒力の発動を阻害する要因を、日常生活の中で多く持っていればいるほど、イタチゴッコのような循環に陥ってしまうということです。その阻害要因は、人によって違います。ここでも、日常的な生活態度というものが、重要になってくるわけです。

これからの方針ですが、来院される限りは、一生懸命施術しなければならないのは当然です。そして、おっしゃるとおり、響く箇所が分かれば、そこが重点となります。充分に響かせ、邪気を排出させることです。(この場合の響きは、神経伝達の流れをスムーズにするという意味ですが)基本的に、症状や病気というのは、一朝一夕でなったものではありません。本来、そこに至った年月と同じ位、時間がかかるわけです。そうは言うものの、現代社会ではそんなノンビリと身体を癒していこうなどと思う人は少ないものです。今すぐにでも完治したいと思うのが人情でしょう。すべての人に応えられませんが、少しでも早く改善させるために技を含め、自身を磨いていくよりほかありません。質問者にとっては、貴重な経験です。ここまで継続して来院して下さるということ自体、稀なことです。感謝しつつ、それに応えるべく悩みながらでも、その人のことを真剣に治そうという努力自体が、施術者として力量を高め、かけがえのない財産となることでしょう。むしろ、単なる一時的な改善を治したなどと誤解し、喜んでいる施術者よりも、はるかに良き施術者となるでしょう。(「施術雑感」参照) 人の身体は多種多様、様々な経過を辿るものです。一人として全く同じということはありません。しかし、ある種のパターンはあります。このパターンを「証」というわけですが、自分なりに分類し、自分なりに「証」を掴んでいくというのが、実は大変重要なことなのです。その証を掴む態度なくして、臨床経験をいくら積んでもあまり意味がありません。ただ単に施術の回数が多い施術者というだけで、終わってしまいます。疑問が出て来ること自体、向上心の現われです。頑張って下さい。「証」についてはまた「施術雑感」で論じていきたいと思います。

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★ 質問その6 2003/7/14

このところ、腸の調子が変なのですが、原因が分かりません。空腹の時は大丈夫なのですが、食事をして少し経つとお腹(臍から下あたり)がパンパンになり苦しくなります。ガスが溜まりやすくなっているのでしょうか?その他は調子悪くはなく、多少便通が良くない程度です。腸の働きが悪くなっているということでしょうか?食事にも気をつけているつもりなのですが・・食後お腹がパンパンに張るという話を聞いたことがありますか?

答え

まず、胃下垂が考えれらます。しかし、医師の診断は受けて下さい。万が一の可能性もあります。このような症状は、いくらでも原因は考えられるのです。そして、西洋医学的な処置、判断を優先させます。(そうしませんと、日本の場合は責任を問われることになります。実際、重大な疾患であることを見逃し、適切な処置を遅らせることにもなりかねません。)
仮に、西洋医学的には問題ないとしましょう。原因が分からないのに、症状を持つというのは非常に多いわけです。ですから、私らのような民間療法家のところに助けを求めに来る方が多いわけですが、それはさて置き、食事の後の腹部膨満感を、西洋医学的に説明するのは、専門医の意見に従うしかありません。また、それを的確に説明する術を、私が持っているわけでもありません。ただ、東洋医学的(特に日本漢方)には、腹部の異常は心の問題と密接に関係するとの考えがあります。「腹は生の本なり」とは、日本漢方が到達した一つの頂点を表現した言葉でもありますし、「もの言わぬは腹ふくるる業なり」とは、徒然草の一節です。この徒然草の一節を、あえて西洋医学的な病名で言うなら「神経性腹部膨満症」ということになり、結構臨床例は多いのだそうです。質問者が、その生活の中で鬱積したものがあり、それを腹に溜めていてなる場合もあるというわけです。いずれにしましても、肺―大腸経の歪みも当然持ちえますから、次回の施術は腹部肺経、大腸経のゾーンと、背部では大椎近辺、そして骨盤のヘリの外側を重点にしてみたいと思います。また、その症状は脾―胃の関係も深いので臍近辺、足では前脛骨筋のラインをよく見てみたいと思います。

筋、骨格関係では、頚椎の歪みで腸の働きが悪くなることもあります。確か、質問者は頚椎の歪みを持っていたのではないでしょうか。それと関係があるやも知れません。また、仙骨骨折の既往歴もあったわけですよね。前回診た時は、仙骨のリズムが崩れている風もなかったのですが、これも時間をおいて現われることがあります。いずれにしましても、全身的な拘束をもう一度精査してみましょう。
(筆者注;質問者は約月一度来院されるお客さまです)

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★ 質問その7 2003/7/15

36歳の女性の方で、手足に灼熱感があります。施術前は、確かに足が熱く感じられますが、術後は逆に冷たくなります。私が足を見て気になるところは、脾臓の反射区が硬く、踵(かかと)と踝(くるぶし)が少しブヨブヨなのと、ふくらはぎも力がなくブヨブヨです。ご本人はふくらはぎのムクミを気にされ、月2回のペースで施術しております。足を揉んで足が冷たくなるというのはどうしてでしょうか。そんなことあるのでしょうか。

答え

ご本人も手足の熱さを感じているのでしょう?冷え症とは逆のパターンなのですね。
であれば、施術が功を奏しているということですよ。焦熱足と言って、むしろ冷え症より施術が難しいものです。冷えよりも数は少ないのですが、たまにこのような方がいらっしゃいます。どうしてこのようになったのかは分かりません。稀に、最初は冷え性だったのが、あるときから熱感を持つということもあります。陰極まって陽となるという表現がぴったりでしょう。(若し、この方がそうであれば、より歪みが深いといえます。質問の文面だけではわかりませんが。)
いずれにせよ、冷えるとか、熱感を持つとかいう症状は、結論から言えば、自律神経のバランスが崩れているということが言えます。それを施術することによって行き過ぎを是正しているわけです。ですから、そのような術後の変化は、施術が功を奏しているのではないかと言ったのです。末端に血液が行き過ぎても、内臓に回る血流が少なくなる為、良い傾向とは言えません。陰陽のバランスとはよく言ったもので、バランスが大事なのです。

脾臓の反射区が硬く、踵、踝がブヨブヨとは、典型的な陰陽アンバランスが見て取れます。本来引き締まっているべきところが力なく、柔らかくなければならないところが硬いわけですから、別に難しく考える必要もなく、バランスが悪いと判断してよいわけです。この方は、36歳にしてすでに更年期様の症状が出ているとも言えるでしょう。本格的な更年期を迎える時期になりますと、もっと酷い症状に悩まされる可能性が大と言えます。
月2回のペースということですが、このペースを維持して続けられれば、大過なく過ごすことが出来ると思います。因みに、その人のライフスタイルにもよりますが、施術を継続すれば足首や踵は引き締まってくるでしょう。ふくらはぎも同様です。

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★ 質問その8 2003/7/18

心筋梗塞で2度ほど倒れたことのある54歳の男性の方です。現在も一日10種類ほどの薬を飲んでいるようです。最初の2ヶ月は週2回のペースで、次の2ヶ月は週1回、そして4ヶ目に入ってからは2週に一度という形で施術しております。私なりに施術は一生懸命やりました。睡眠薬を飲まなくても眠れるようになり(軽いウツ、不眠症があり一年位服用していた)、本人も医者も驚いております。年に一度血液検査をするのですが、このように薬を10種類も飲んでいて検査数値は改善されるのでしょうか?また服用しないほうが改善されるものなのでしょうか?

答え

医者ではありませんので、無責任なことは言えないという立場をご理解下さい。(医者でも、これだけの情報では何もいいようがないでしょうが・・)個人的には不要な薬も服用しているような気がしますが、どれが必要でどれが必要ではないかというところまでは分かりませんし、分かったとしてもそれを指摘し、仮にその指摘にお客様が従ったとしたら、その時点で医師法違反の疑いが出て参ります。ですから、このような問題に対してはイエス、ノーで簡単には答えられないのです。あくまで一般論としてですが、薬は飲まない方が良いに決まってます。薬物は、基本的には生体には異物ですし、毒です。しかし、その作用によって生体を維持できるが故に、その服用が許可されているわけです。薬物に依存し過ぎますと、生体のホメオスタシスが崩れ、長期的には良い結果をもたらさないでしょう。だからといって、その薬のおかげでなんとか維持していられるということもあるわけで、質問者は医療の根幹に関わる問題を提起しております。薬漬け医療が批判されて久しいのですが、この制度はあまり変わる様子を見せていません。医療行為(処方)が法的に許可されているのは医師だけですから、医師がもっとホリスティック的な考え方を導入しない限り、問題は解決しないでしょう。しかし、現制度では薬を処方しなければあまり稼げないというのも現実にあるわけで、医師の信念に従って医療をしようとすれば、自由診療にならざるを得ません。これでは医療者としてやっていける人はごく少数になると思います。

かつて美空ひばりが亡くなったとき、食事療法の民間療法家の指示に従った為に死期を早めたと、随分その療法家がバッシングされました。そして行方をくらませました。
この例だけではなく、何かあると民間療法家はバッシングされます。それどころか、逮捕さえされかねないでのです。劇的な効き目があって、それに自信を持ち、勝手に医師から処方された薬を止めるよう指示する民間療法家がいますが、極めて危険な行為と言わざるをえません。
西洋薬には長短両面があります。短所は対症療法的過ぎて、症状を抑えながら本質的には真の原因を抑圧し歪みを深くするという側面です。長所は急性の場合、その人の命を救うことができるということです。例えば、喘息の場合、発作が起きたとき、たった一錠の気管支拡張剤がない為、死んでしまったという例はよく聞きますし、狭心症の発作も同様です。
この方の場合、2度心筋梗塞で倒れているわけですから、病態はどうか分かりませんが、血管が収縮(痙攣)しやすい体質であることが考えられます。日常生活はどうであるか、ストレスを溜めやすい性格なのか、いずれも分かりません。若しかしたら、処方された薬によってかろうじて血管が拡張し、発作が起きないで済んでいるのかも知れません。10種類の薬のうち、どれがどのような作用を及ぼしているのか分かりませんので、数値が改善するかどうかという質問には答えられないのです。(どんな数値がどのように改善すればよいのかも分かりません)

ただ、軽いウツと不眠症が改善されているようですね。これは間違いなく良い影響を与えています。心筋梗塞の場合、3度目の発作で生き長らえることは稀です。今のところ3度目が起きていないのは薬だけではなく、質問者の施術も大いに貢献していることは間違いありません。そして、薬物による副作用的な(歪みを深くする)ものを最小限に押さえているのだと思います。このように、薬の有無が直ちに命に影響するような場合は、あまり薬について深く考えないで下さい。(高度な専門知識が必要な場合です)

慢性病の場合や、直接命に関わらない場合は、本人の自覚次第です。私も、明らかに薬の服用のし過ぎではないかという症例に出くわしますが、本人以外の者が医師にそれを言うことが出来ませんので、本人の自覚を促す以外ありません。薬が合わないのにそれを続けているという、こんな例もありました。
めまいが酷いという方で、よくお話を聞いてみると、医者が処方した薬を飲んだ後に酷くなるということが分かりました。「それは薬が合わないのでは?もう一度、医師に状況を伝えて薬を替えてもらったら如何です?」信じられないような話ですが、本当です。それにしても控えめな表現で本人に自覚を促すというやり方です。しかも、どういう時が一番めまいを感じるか、根堀、葉堀聞いて、ようやく薬を飲んだ後が一番ひどいような気がするという結論に達したわけで、3回も施術をした後です。普通は感覚的に分かりそうなものですが・・人それぞれだという典型でしょう。それからは、薬を常用しているかどうか必ずチェックするようになりましたが、どうしろとかは早急には言いません。理由は述べた通りです。こんな話を聞いたことがあります。ある民間療法家で、医師の処方した薬を止めさせることは医師法違反に該当することを知っているらしく、「若し、あなたが私の母親なら、おふくろ、この薬は飲まない方が良いっていうんだがなぁ〜。あっ、今のは独り言ね」・・色々工夫してますよね。それくらい気を使うものなのです。

質問者の意図とはズレた答えになってきましたが、薬についての質問が多く、この際、見解を明らかにしておきたいという意味で回答しました。ご参考になれば幸いです。

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★ 質問その9 (足が冷えていく人がいるのですが・・) 2003/11/27

20代後半の女性の方です。その方は冷え症で、いつも手足が冷たいと言います。そこで足を施術したのですが、揉んでいくうちに冷えていきます。最初は足浴をするせいもあってか、温かいのですが、施術開始10分程でもう冷たくなっていくのです。これはどういうことでしょうか?施術の仕方が悪いのでしょうか?

答え

足部施術後の体感で一番多いのは、“足が軽くなった”というものです。次に多いのは“足がポカポカと温かい”というものでしょう。そのような臨床経験から、施術中から冷たくなってしまう現象に面食らっているのはよく分かります。
直接お答えする前に、足を揉むと身体にどのような変化が起きているのかもう一度復習してみましょう。足を揉みますと、その刺激がよほど強いものでなければ(相手が忌避反応を起こすほど)、自律神経のうち副交感神経が優位になってきます。副交感神経は心拍数を減少させ、末梢血管を拡張させます。さらに皮膚緊張も解け、筋肉全体も緩んでくるものなのです。血管が拡張しているということは血流も緩慢になっているということです。このような状態のとき、人間の身体は放熱が進みます。つまり、体温がドンドン外に放出されるわけです。ですから、起きているとき(交感緊張)はなんともなくとも、寝てしまう(副交感優位)と風邪を引いてしまったりするわけです。冬山での遭難では、起きていられるか、寝てしまうかによって、一命に関わるというのはそうしたことが原因なのです。
さて、施術中は、施術者自身はどちらかというと交感緊張の状態で、受療者は副交感優位となります。つまり、自律神経的には正反対の状態と言えましょう。ここで、両者の体感温度の差が出てまいります。施術者にとって快適な室内温度であっても、受療者にとっては放熱が進む室温である場合があるということです。これはある一定の温度より下がると顕著に見られる状況といえますので、すべての施術者は気を使わねばなりません。特に冬は気をつけたほうが良いでしょう。まず、自分にとってではなく、受療者に放熱があったとしても快適かどうかという温度設定に気をつけて下さい。施術者が暑いと思うくらいの温度が好ましい場合もあるのですから。

さらに、このようなことも考えられます。手足が冷たいと訴える方というのは、本質的に内臓、器官に欠陥をもっていて、そこに血液を集中させねば、維持もしくは修復ができないという体質であるともいえるのです。そこで、手足に血液がいくのをカットしてまでも血液を必要としている箇所に廻そうとするわけです。ですから、常態として、手足が冷たいということになるわけです。これは身体の防衛反応ともいえるもので、これを無理やり手足に血を廻すと、必要なところに血液が廻らず、却って内臓、器官にダメージを与えることになります。足部の施術は、その人の自然治癒力をそれこそ自然な形で発動させ、身体のバランスを図ろうとする療術ですから、その流れに沿った現象が起きます。つまり、足を揉んで足が冷たくなっていくという現象もまた自然なことでもあるのです。身体全体のことを考えてみれば、施術の最中から足が冷えていくこともあるわけで、別に驚くようなことではありません。また、施術が下手ということにもなりません。そのような体質の方は誰がやってもそうなることでしょう。(勿論、室温には充分配慮した上での話ですよ)
“木を見て森を見ない”という諺がありますが、リフレクソロジストの中には“足を見て身体を見ない”というある種の狭い考えに捉われている方も多いようです。何のために足を揉むのか?という視点がズレている場合が多いものです。何がなんでも足を温かくせねばならない!という考えは、時と場合によっては間違いと言えるでしょう。
その原因が除去されれば、自然に手足の冷たさは解消されるでしょう。しかし、これは体質的な本質的な原因であることが多いため、時間がかかるともいえます。

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